こんばんは。火花の学者、おじょーです。今夜は、パイオニアで総額8,930円で組める赤単バーンデッキをご紹介します。
デッキが高い…と嘆いているあなたにこそ、ぜひ見てほしい。パイオニア環境のデータから見えた一筋の光。更なるスリム化への挑戦と、とある「意欲的な作品」へのリスペクトが生み出した、赤単の美しさを極限まで追求したデッキ。まずはそのリストからご覧ください。
この記事は非公式のファンコンテンツであり、ウィザーズ社の認可/許諾は得ていません。題材の一部にウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の財産を含んでいます。©Wizards of the Coast LLC.
デッキリスト

デッキ
12 山 (ANA) 7
4 ラムナプの遺跡 (AKR) 326
4 バグベアの居住地 (AFR) 254
4 ギトゥの溶岩走り (FDN) 623
4 僧院の速槍 (KTK) 118
4 損魂魔道士 (AKR) 175
4 ヴィーアシーノの紅蓮術師 (FDN) 634
4 熊野と渇苛斬の対峙 (NEO) 152
4 噴出の稲妻 (SOA) 41
4 魔術師の稲妻 (DAR) 152
4 批判家刺殺 (OTP) 26
4 稲妻の一撃 (TLA) 146
4 舞台照らし (FCA) 39
サイドボード
4 乱動する渦 (ZNR) 156
3 引き裂く流弾 (DTK) 150
3 魔女跡追いの激情 (WOE) 159
3 トーモッドの墓所 (M21) 241
2 真紅の鼓動の事件 (MKM) 114ご注意 このデッキの価格(総額8,930円)は、2026年6月11日時点の晴れる屋通販サイトの販売価格に基づいて計算しています。MTGのシングル相場は常に変動するため、将来にわたってこの価格が維持されることを保証するものではありません。
コンセプト
このデッキが目指すゴールは極めてシンプルです。「相手が10万円のデッキで悠々と準備を整える前に、1マナ3点火力を顔面に連打して4ターンで焼き切る」
現在のパイオニア環境の赤単は、《叫ぶ宿敵》と《無謀な怒り》を組み合わせたコンボ型が主流ですが、本デッキはそこへ真っ向からカウンターを仕掛けます。高級なコンボパーツを一切排除した代わりに、赤単の原点にして究極の美学である「3点火力12枚体制」という圧倒的な速度を追求しました。



本物の「稲妻」を降臨させる12枚のウィザード
モダンやレガシーと違い、パイオニアには1マナ3点インスタントの元祖《稲妻》が存在しません。しかし、このデッキには《魔術師の稲妻》があります。戦場に「ウィザード」がいれば、たった1マナで3点を飛ばせる実質的な《稲妻》です。

本リストでは、以下の計12枚の「ウィザード」をフル投入しています。
- 1マナ:《ギトゥの溶岩走り》《損魂魔道士》
- 2マナ:《ヴィーアシーノの紅蓮術師》



これにより、手札の《魔術師の稲妻》をほぼ確実に本物の《稲妻》へと変貌させ、《批判家刺殺》《稲妻の一撃》と合わせて、相手のライフを一瞬で消し飛ばす火力を実現しています。
出ただけで仕事をする《ヴィーアシーノの紅蓮術師》
この手の果敢系赤単を見たら、誰もがまず1枚2,000円のパワーカード《精鋭射手団の目立ちたがり》を採用することを考えるでしょう。しかし、今回はあえて1枚数十円の《ヴィーアシーノの紅蓮術師》を4投しています。「予算がないから仕方なく妥協した?」……このコモンの実力を侮ってはいけません。


確かに《目立ちたがり》の爆発力は魅力的ですが、最大の弱点は「除去されたら1点も与えられない」という点にあります。富豪たちの高額ミッドレンジが構える1マナ除去の前に、2マナを払った《目立ちたがり》が虚しく墓地に送られるシーンを、皆さんも何度も見てきたはずです。
一方、この《ヴィーアシーノの紅蓮術師》はどうでしょうか。こいつは戦場に出た瞬間に、相手の顔面に確定で2点を飛ばします。相手がどれだけ優秀な除去を構えていようが、着地した時点でこちらの仕事は100%達成しているんです。
「除去を合わせられたら終わり」の2,000円の危うい爆発力よりも、「出ただけで確実に仕事を遂行し、次の稲妻へ繋げる」数十円の確実性。これこそが、1万円のデッキで10万円のガチ環境を論破するための最大の武器なのです。
勝率をあげるダメージ計算のコツ
「相手のライフを火力で削り切る」と言うのは簡単ですが、実際のゲームではちょっとした「算数」が必要になります。
仮に3点火力だけで相手のライフ20点を削り切ろうとすると、合計7枚の呪文(3点×7枚=21点)が必要になります。初期手札が7枚というこのゲームにおいて、呪文だけで7枚を消費するのは、ドロー枚数を考慮してもかなりカツカツです。
手札の必要枚数を1枚節約して勝つためには、どうすればいいか?答えは簡単です。6枚のカードのうち、どれか2枚が「4点以上」を稼いでくればいいのです。そこで重要になるのが、クリーチャーたちとの連携です。そう考えていくと、先ほどご紹介した《ヴィーアシーノの紅蓮術師》の仕事人ぶりがさらに浮き彫りになります。
- 戦場に出た瞬間に:能力で顔面に2点
- 次のターンに:2/1のパワーで攻撃して2点
これだけで、綺麗に「4点」というノルマを1枚で稼ぎ切れるわけです。
限られた手札の中で、誰がどうやって打点のノルマを達成するのか。簡単な足し算を意識するだけで、このデッキの勝率は劇的に跳ね上がります。
サイドボードプラン
対パルヘリオンシュート




- In: 3x《引き裂く流弾》、3x《魔女跡追いの激情》、3x《トーモッドの墓所》、2x《真紅の鼓動の事件》
- Out: 4x《ヴィーアシーノの紅蓮術師》、4x《噴出の稲妻》、3x《批判家刺殺》
キーカードである《大牙勢団の総長、脂牙》を確実に焼ける火力を増強しつつ、墓地対策の《トーモッドの墓所》でコンボを封じ込めます。コンボさえ止めてしまえば、相手は普通の機体ビートダウンになります。そのため、残った巨大な機体を1マナで落とせる《魔女跡追いの激情》や、長期戦への備えとして《真紅の鼓動の事件》を追加しましょう。
このマッチアップでは、2点火力は役に立ちません。《噴出の稲妻》が抜けるのは当然の流れと言えます。また、長期戦になった時に仕事がしづらくなる《ヴィーアシーノの紅蓮術師》も、真っ先に抜ける候補となります。
対白青コントロール

- In: 4x《乱動する渦》、2x《真紅の鼓動の事件》
- Out: 3x《批判家刺殺》、3x《舞台照らし》
正直に言えば、クリーチャーを並べてこない相手はこちらにとって「お客様」です。除去を減らして、対処されにくい勝ち手段を増やすという、分かりやすいアグレッシブなサイドボーディングを仕掛けます。
注意点として、相手は基本的に《真昼の決闘》をサイドインしてくると想定してください。これによって「1ターンに1回しか呪文を唱えられない」という制限をかけられるため、自分のターンだけでなく、相手のターン(インスタントタイミング)に火力を撃ってアクション回数を稼ぐ必要があります。
そのため、自分のメインフェイズにしか唱えられず、ダブルアクション前提の《批判家刺殺》や《舞台照らし》は使い物にならなくなります。これらはできるだけ抜いてしまいましょう。
対青赤フェニックス


- In: 3x《引き裂く流弾》、3x《魔女跡追いの激情》、3x《トーモッドの墓所》、2x《真紅の鼓動の事件》
- Out: 3x《噴出の稲妻》、4x《批判家刺殺》、4x《舞台照らし》
墓地対策さえ積めば簡単……と思うじゃん?実はそこが罠です。
相手はサイドボードから《帳簿裂き》を投入し、こちらのダブルアクションを強烈に咎めてきます。そのため、こちらも《引き裂く流弾》などの火力の高い除去による対策が必須となります。
こちらがダブルアクションを起こすことが前提となっている《批判家刺殺》や《舞台照らし》を残しておくと、相手の《帳簿裂き》をモリモリ育ててしまい、大変な目に合いますので潔く抜きましょう。タフネスの高いクリーチャーが多いため、火力の低い《噴出の稲妻》も減らして大丈夫です。
対黒緑ミッドレンジ



- In: 4x《乱動する渦》、3x《魔女跡追いの激情》、2x《真紅の鼓動の事件》
- Out: 4x《ヴィーアシーノの紅蓮術師》、1x《僧院の速槍》、4x《批判家刺殺》
相手の得意な手札破壊や除去で消されるのは承知の上で、ライフ回復を咎める《乱動する渦》を設置しておきたいマッチアップです。
相手の大型クリーチャーをキッチリ焼き切れるよう、5点火力の《魔女跡追いの激情》をガッツリ積み込みます。《墓地の侵入者》は「護法」の能力でこちらの手札を捨てさせてきますが、あとから《真紅の鼓動の事件》で手札はいくらでも補充できますので、手札損を気にせずガンガン焼き払ってください。
こちらのコントロールプランに寄せる場合、クリーチャーを減らすことになりますが、その際は長期戦が苦手な《ヴィーアシーノの紅蓮術師》から優先して抜いていきます。枚数が足りない分は《僧院の速槍》を1枚だけ落とします。
アップグレードオプション:予算の都合で削ったカード
ここまでは「予算9千円」で組める構成をご紹介してきました。ですが、もしあなたが「少し予算に余裕がある」「手持ちのカードがあるから、このデッキをもっと強化したい!」と考えているなら、以下のカードたちを買い足してみてください。
逆説的に、おじょーが予算の都合で涙を呑んで削った、ガチの強化パーツたちです。
稲妻波

元の意欲的なリストに採用されていた、最新の3点火力です。1マナ3点火力・12枚体制という「これぞ赤単」というあまりにも美しい構成を維持するため、できればそのまま4枚採用したかったのですが……。
今回は9千円以内の予算に収めるため、泣く泣く大定番コモンの《稲妻の一撃》へと差し替えました。もしパックから剥けたり、ストレージに眠っていたりするなら、こちらを優先して投入するとデッキの芸術点が跳ね上がります。
精鋭射手団の目立ちたがり

2マナ1/2飛行・速攻と、一見するとボディは貧弱。ですが、呪文を唱えるたびにパワーが跳ね上がる果敢系の能力を持っており、何より重要な「ウィザード」です。
さらにこいつの恐ろしいところは、マナを先払いしてキャストを次ターン以降に先送りできる「計画」を持っている点。手札をキープしつつ、次のターンに一気に1マナ火力を連打して大ダメージを叩き出すといった、柔軟すぎる立ち回りが可能になります。
2026年6月現在、1枚約2,000円と今回のデッキで最も高い壁ですが、お財布が許すなら《ヴィーアシーノの紅蓮術師》の枠をこれに差し替える価値は十二分にあります。
《叫ぶ宿敵》&《無謀な怒り》パッケージ


現在のパイオニア赤単のトレンドである、最凶のコンボパーツです。将来的に「完全なるガチ環境の赤単」へと完全移行するための投資として、今のうちにショップで買い置きしておくのも大いにアリです。
開発秘話
唐突ですが、いまMTGのスタンダードをゼロから始めようとしたら、一体いくらかかると思いますか?
環境トップのデッキ一覧を眺めてみてください。2色土地、3年ローテで居座り続ける凶悪なパワーレア、そして1枚15,000円という狂った相場をつける神話レアをこれでもかと詰め込んだ結果、「最低6万~10万円」という世紀末な状態になっています。
ひと昔前なら「スタンはプールが狭くて覚えることも少ないし、安く組めるから初心者向けだよ!」と言えたかもしれません。でも、今のパック仕様、カードプール、そして物価の前では、安易にお勧めすることなんて絶対にできません。メーカーやショップのビジネスとしては新カードが売れるべきなのは分かりますが、普通のユーザーの財布はもうついていけないんです。
ハマるかも分からないゲームに、いきなり10万円を差し出せるか?答えは「否」です。
「構築を安く遊ぶのは無理なのか……」と諦めかけた私ですが、パイオニア環境のデータを見ていた時に一筋の光が見えました。環境上位に、総額3万円前後で組める「赤単アグロ」が一線級のデッキとして君臨していたのです。
しかしながら、初心者やライト層にとって「3万円」でもまだまだ高い。私が目指したのは、「たった1万円の予算で、10万円のガチデッキと対等に渡り合える赤単」でした。
「最凶パッケージ」の絶望
さっそく現在のパイオニア赤単のデータを解剖しにかかりましたが、すぐに大きな壁にぶち当たります。現在の赤単の強さを支えているのは、《叫ぶ宿敵》と《無謀な怒り》による最凶のコンボパッケージだったからです。
コンボの仕組み:
《無謀な怒り》は1マナ4点火力を相手に与える代わりに、2点ダメージを味方に飛ばす呪文。これで味方の《叫ぶ宿敵》を対象に取ることで、宿敵の能力が誘発し、なんと「4点+2点」のダメージを相手の戦場へ自在にばら撒くことができます。
現在の赤単はこのコンボが前提。しかし、価格は一時期より落ち着いたとはいえ《叫ぶ宿敵》が1枚1,600円、《無謀な怒り》が1枚700円。これらを4枚ずつ揃えるだけで、いきなり「9,200円」に達してしまいます。
総予算1万円のデッキで、メインパーツ2種だけで9割以上の予算を食いつぶされたら、残りの52枚は基本土地しか入れられなくなります。もはやこれまでか?
「1マナ3点火力・12枚体制」という芸術との出会い
どのデッキも判を押したように《叫ぶ宿敵》+《無謀な怒り》パッケージを採用する中、入賞データの海の底に、たったひとつだけ毛色の違うデッキがありました。《叫ぶ宿敵》を採用していない、そして私が最も美しいと感じた意欲的な作品。
https://www.hareruyamtg.com/ja/deck/1315363/show
- 4《魔術師の稲妻》
- 4《稲妻波》
- 4《批判家刺殺》
この、1マナ3点火力を3種12枚搭載した、赤単の本質である美しさを極限まで追求したリストでした。コンボに頼るのではなく、圧倒的な速度と火力で相手のライフを消し飛ばす、これぞ私の求めていた赤単の姿です。
しかし、このレシピにも罠がありました。現環境のパワーカードである《精鋭射手団の目立ちたがり》が4枚、当然のようにフル投入されていたのです。ここを解決しなければ1万円には収まりません。
眠れる獅子、爆誕
《精鋭射手団の目立ちたがり》の役割は、2マナの優秀なアタッカーであり、何より《魔術師の稲妻》のコストを軽減できる「ウィザード」であることです。
ならば、この条件を満たすもっと安いカードはないか?……あります。《ヴィーアシーノの紅蓮術師》です。
かつてスタンダードや黎明期のパイオニアでも大活躍したこのクリーチャーは、アタッカーとして遜色ない性能を持ち、なおかつ《魔術師の稲妻》のコストを1マナにする「ウィザード」の条件を完璧に満たします。そして何より、コモンゆえに1枚数十円。
このカードの差し替えにより、デッキの「ウィザードカウント12枚」という黄金比を維持したまま、価格だけをガッツリ削ぎ落とすことに成功。さらに最新カードの《稲妻波》を、市場に溢れる定番コモン《稲妻の一撃》へと置き換えた結果……
メインボード総額、驚異の「5,840円」。サイドボード15枚を完璧にガチ仕様で固めても「総額8,930円」という、芸術的かつお財布に優しすぎる「ウィザードバーン」がここに爆誕したのです。
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