MTGフォーマット一覧:予算の目安とおすすめフォーマット

この記事では紙やMTGアリーナそれぞれの主要フォーマットで使用可能なカードを整理するとともに、デッキを組むのに必要な予算感をご紹介します。

読者の皆様それぞれの金銭感覚の中で、やってみたいフォーマットを見つける助けになれば幸いです。MTGはとにかくお金のかかるゲームです。カードゲームに対する金銭感覚は人それぞれですから、高いと感じるか安いと感じるかはあなた次第です。

なお、金額という観点ではなく、覚えるべきカードの数という観点からいえば、リミテッドやスタンダード、パイオニアといったフォーマットのほうが始めやすい、とっつきやすいと考えております。こういったフォーマットから始めていただき、これは面白い、もっと深淵を覗いてみたいと思っていただけたところで、モダンやレガシーといった沼に沈んでいただくことをお勧めします。

フォーマットとは?

MTGが双方のプレイヤーにとって楽しめるゲームとなるよう、デッキに使用できるカードに制限・決まり事を定めたものとなります。具体的にはスタンダード、パイオニア、モダン、レガシーといったフォーマットがあり、それぞれデッキに使用できるカードの範囲が決まっています。何のためにそのような決まり事が存在するのでしょうか?

モダンやレガシーなど、より幅広いカードが使用可能ないわゆる下のフォーマットになると、参入障壁という問題があります。膨大なカードの知識が必要となるうえ、ある程度勝負のできるデッキを組もうとすると、絶版となったカードなども買いそろえなければならず、いきなり始めるにはハードルが高いものとなります。

スタンダードやパイオニアで使用可能なカードは比較的最近のカードに限られており、覚えるべきカードも下のフォーマットほど多くはありません。カードの在庫も潤沢にあるため、買いそろえることは難しくありません。

フォーマット一覧

紙・MTGアリーナ共通

  • リミテッド
  • スタンダード

MTGアリーナ専用

  • アルケミー
  • ヒストリック

紙専用

  • パイオニア
  • モダン
  • レガシー
  • ヴィンテージ
  • パウパー
  • 統率者戦(EDH)

フォーマット解説

リミテッド

紙・MTGアリーナ:両対応
使用可能なカード:既定の数のパックを開け、その場で入手したカードのみ使用できる
費用(紙):1回あたり1,800円~3,600円程度
費用(MTGアリーナ):1回あたり5,000ゴールド(デイリークエスト約1週間分)

リミテッドは更にシールドとドラフトという2種類のフォーマットに分かれており若干ルールが異なりますが、その場で開けたパックのカードのみを使用可能という点では共通しています。ドラフトのほうが安上がりとなりますが、デッキ構築時点である程度技術が必要となるので、最初は経験者の方に教えてもらってシールドをやってみるのがいいと思います。

普通のフォーマット(構築フォーマット)はどれも、自分がコレクションしたカードから好きにカードを選んでデッキを組むことができますが、リミテッドはそもそもカードの持ち込みが禁止という点で他と一線を画しています。毎回新しいパックを開封しなければならないため、継続的にお金がかかるフォーマットではあります。例として紙のドラフトを2週間に1回プレイした場合は年間およそ47,000円となります。MTGアリーナなら同じ条件で完全無料です。

ただ、リミテッドで入手したカードはその後構築フォーマットにも流用できるので、総合的に見て安上がりと思っています。MTGのセットは基本的にリミテッドを遊べる前提のバランス調整がされており、MTGを最も楽しめるフォーマットと言えます。

スタンダード

紙・MTGアリーナ:両対応
使用可能なカード:直近3年で発売された9~12セットの収録カード
デッキ構築費用(紙):最初はチャレンジャーデッキ(4,000円程度)がおすすめ。20,000~30,000円程度の予算があれば大抵のデッキは組める
デッキ構築費用(MTGアリーナ):基本無料。セットごとに7,000円程度課金すればカードには困らなくなる(年間28,000円程度)

構築フォーマットの中では最も範囲が狭く、言い換えれば覚えるべきカードの数が少ないため始めやすいフォーマットと言えます。毎年発売されるチャレンジャーデッキは、店舗イベントでも遜色ないレベルのデッキが4,000円というので比較的コスパが高く、ここから始めるのがおすすめです。もう少し予算に余裕があるようでしたら、安めのデッキなら5,000円~10,000円程度から組むことができ、20,000円~30,000円程度まで出すと大抵のデッキが組めるようになります。

直近3年というのは上記のようなメリットもある一方、毎年使用可能なカードが更新され、古いカードは使用できなくなるというデメリットもあります(いわゆるスタン落ち)。セットごとのデッキの移り変わりも大きく、そのたびにカードの追加・買い替えが発生するなど、継続していくにはそれなりにお金がかかるフォーマットでもあります。セットごとに30,000円のデッキを新たに購入すると仮定すると年間で120,000円程度を見ておく必要がありますが、そこまでしなくても、10,000円ぐらいのデッキを毎年買い替える程度の頻度でも十分楽しめると思います。

2024/1月現在、使用可能なカードセットは下記にまとめています。

アルケミー

紙・MTGアリーナ:MTGアリーナのみ対応
使用可能なカード:直近2年で発売された5~8セットの収録カード+アルケミー追加カード
デッキ構築費用:基本無料、1セットごとに7,000円程度課金すればカードには困らなくなる(年間28,000円程度)

スタンダードで使用可能なカードに加え、アルケミー追加カードが使用可能となります。アルケミー追加カードについても年次で区切られスタン落ちが発生します。基本的にはスタンダードと多くのカードを共有しているのですが、一部のカードについてアルケミー・ヒストリック独自のバランス調整が行われることもあり、スタンダードとアルケミーで異なるテキストを持つケースもあります。これによってスタンダードとは似ているけれども異なる環境で遊べるのがポイント。

アルケミー専用カードにワイルドカードが必要となるぶん、スタンダードと比べると多少費用がかかってきます。基本無料でコツコツカードを集めてもよいのですが、課金に抵抗がないのであればセットごとに7,000円程度課金を続けていくとカードには困らなくなります。

ヒストリック

紙・MTGアリーナ:MTGアリーナのみ対応
使用可能なカード:MTGアリーナに収録されたすべてのカード
デッキ構築費用:無料でも1年くらいかければデッキ組めるが、最初にどかんと20,000円くらい突っ込めばあとは課金なしで遊べる

MTGアリーナに収録されたすべてのカードが使用できます。すべてのというのは、本流のセットやアルケミー追加カードに加え、Jump Start やヒストリック・アンソロジー、リマスターセットなどの特殊セットを経由して追加されたカードが含まれます。

ゼロからデッキを組むことを考えたときにいわゆるショックランドやファストランドなど多色土地を大量に集め、過去に収録されたレア・神話レアもある程度ワイルドカードを切る必要があります。無課金で参入するならスタンダードは節約しつつコツコツワイルドカードを貯め、満足にデッキが組めるまで半年~1年くらいはかかると思います。

課金に抵抗がなければ最初に20,000円程度まとめて課金するのが手っ取り早いです。一度デッキを組んでしまえば環境の移り変わりこそあれど同じデッキで2年後3年後も遊べると考えると早めに課金したほうが日割りが安くなります。これでも紙のデッキよりは圧倒的に安いです。

パイオニア

紙・MTGアリーナ:紙のみ対応
使用可能なカード:ラヴニカの回帰(2012年10月)以降の通常セットに収録されたカード
デッキ構築費用:最初はチャレンジャーデッキ(6,000円程度)がおすすめ。50,000~60,000円程度の予算があれば大抵のデッキは組める

比較的最近のカードが使用可能で、いわゆるスタン落ちが発生しないフォーマット。スタンダードを卒業したカードたちが集う一種の同窓会というイメージのフォーマットです。スタンダードで活躍したカード、戦略である程度戦うことができるというのが最大の魅力。モダンやレガシーと比べれば使用可能なカードの幅もそこまで広くなく、チャレンジャーデッキなども整備されていることから始めやすい条件は整っています。

チャレンジャーデッキの存在によりスタンダード並の予算で始められるうえ、一度買ってしまえばしばらく買い替えがいらないことを考えると、下手するとリミテッド、スタンダード以上に安上がりなフォーマットという認識です。

モダン

紙・MTGアリーナ:紙のみ対応
使用可能なカード:基本セット第8版(2003年7月)以降の通常セットおよびモダンホライゾンに収録されたカード
デッキ構築費用:安いデッキでも50,000~60,000円。できれば100,000円~200,000円前後の予算が欲しい

かなり古いカードまでが使用可能であり、ロックデッキから即死コンボデッキまで、やりたいことは大抵なんでもできるフォーマットというイメージ。絶版カードを買い集める必要はないのでカードの入手性自体は問題ないものの、やはりスタンダード、パイオニアと比較すると予算が一気に跳ね上がります。

その代わりデッキを組んだらしばらく買い替えは不要というのがこれまでの定説だったのですが、近年になってモダンホライゾンによって毎回勢力図が大きく書き換えられるようになり、デッキの単価が高いうえに頻繁な買い替えが必要となり、継続してついていくのが大変なフォーマットという感想を持っています。

レガシー

紙・MTGアリーナ:紙のみ対応
使用可能なカード:発売されたほぼすべてのカードを使用可能。ゲームバランスのため禁止カードの設定あり
デッキ構築費用:安いデッキでも50,000~60,000円。できれば500,000円~1,000,000円前後の予算が欲しい

ゲームバランスを保つため一部禁止カードが設定されていますが、ほぼなんでもあり、というフォーマットです。

デッキによっては絶版カードを買いそろえる必要があり、その場合の予算は跳ね上がることを覚悟してください。1枚10万円のデュアルランドを5~10枚ぐらい揃えるだけで下手したら50~100万円ぐらいの予算になります。なお、私の組んでる赤単バーンとかであれば20,000~30,000円程度に収まるようなものもあります。

ハードルは非常に高いのですが、予算のうちの7割は絶版カードであるいわゆる「デュアルランド」が占めており、一度デュアルランドさえそろえてしまえばあとはモダンと同等の買い替え頻度、予算感でデッキが組めるようになります。

ヴィンテージ

紙・MTGアリーナ:紙のみ対応
使用可能なカード:発売されたほぼすべてのカードを使用可能。禁止カードはごく一部の例外を除き存在しない
デッキ構築費用:下手すると数百万~数千万ぐらいに上る可能性あり

レガシーはゲームバランスを考慮して禁止カードが設定されていますが、ヴィンテージはごく一部の例外を除き禁止カードは存在しません。文字通りなんでもありのフォーマットです。

いわゆる「ブラックロータス」「パワー9」といった伝説に聞くようなカードは基本このヴィンテージのみプレイ可能です。絶版ゆえ1枚数十万~数百万円に上り、年々取引価格は上昇し続けています。デッキに1枚しか投入できない「制限カード」として扱われていますが、これらパワー9をしっかり搭載したデッキを組むとなると軽くお家が建っちゃうぐらいのお金がかかってもおかしくないと思います。

私のような下々の者には無縁のフォーマットであり雲の上のような存在、暇を持て余した神々の遊びのようなものだと思っていますが、そういう世界が存在するということ自体がマジックの魅力の一つだと思います。

パウパー

紙・MTGアリーナ:紙のみ対応
使用可能なカード:発売された全期間のカードのうち、コモンとして収録されたことのあるカード
デッキ構築費用:4,000円~10,000円程度の予算があればほぼすべてのデッキが組める

いわゆるコモン縛り構築といった感じで、スタンダード落ちのない他のフォーマットと比較しても遥かに安く組めるのが特徴。モダンとかレガシーのデッキを見た後にパウパーのデッキの予算調べたらゼロいっこ足りなくね?ってなってびっくりしました。赤単バーンとか組んでみようかな。

コモンカードのみとはいえ、発売された全カードが範囲となるため、中には本当にコモンなのか疑わしくなるようなパワーカードも存在します。アグロからコントロール、コンボまで一通りのことは可能としており、想像している以上に懐が深いフォーマットという感想。

統率者戦(EDH)

紙・MTGアリーナ:紙のみ対応
使用可能なカード:発売されたほぼすべてのカードを使用可能。ゲームバランスのため禁止カードの設定あり
デッキ構築費用:最初は構築済みデッキ5,000円程度がおすすめ。デッキレベルによって予算はピンキリだが最高レベルでは100,000~200,000円程度かかることも

多くの特殊なルール、特徴を持っていますが、最大の特徴は3人以上で行う多人数戦であることだと思います。自分以外が全員敵でもあり、利害が一致すれば共闘することもあるなど、2人対戦では存在しなかった「政治」「外交」といった要素が加わります。

統率者向けの構築済みデッキがセットごとに発売されており、5,000円程度から始めることができます。デッキの買い替えもありません。対戦相手を募集する際にデッキレベルを申告するという文化があり、レベルの近いものどうしで対戦できるため、あまりガチガチに組まなくても楽しめるかと思います。かと思えば、より高額なカードでガチガチに最適化された「競技EDH」というジャンルもあり、懐が深いフォーマットというイメージです。

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