17lands.com 統計データ最強活用術

TIPS

はじめに

こんばんは。理論の学部長、おじょーです。

先日、とある動画のコメント欄にて、リミテッドに関するこんなお悩み相談をお寄せいただきました。

17lands.comの統計の見かたが分かりません
動画で検索かけても出てこないですし、解説しているブログもありますが、
ツールの導入方法ばかりで統計の見かたが一切書かれておらず困っています

解説動画等出していただけるとありがたいです
コメントお寄せくださりありがとうございます

17landsの統計データの見方や考え方など
、読み方のコツがわかれば大いにヒントになるのですが、
確かにあまり解説をみかけませんよね・・・。いずれ動画化してみたいと思っていたところでした。

というわけで、17lands.comを120%使いこなす!統計データの読み方、活用方法についてご説明していきます。長い記事となりますがご興味があればどうぞお付き合いください。

関連動画

この記事は以下の動画と同様の内容となります。どうぞお好みでご覧ください。

17lands.comとは

リミテッドの対戦データを収集・分析するサイトです。ユーザー登録・設定を行うことでリミテッドの対戦データが自動的に収集され、記録された自分の戦績などをサイト上で確認できるようになります。

それだけではなく、多数のユーザによる膨大な量の対戦データに基づくさまざまな分析データを見ることができます。この分析データを上手に活用することができれば、何千人何万人という経験値を自分のものとして吸収することができます。

すべて英語で書かれてるため一見ハードル高そうに見えますが、何が書いてあるかさえわかれば英語が苦手でも問題なく使えます。戦績アップに重要なデータがぎっしりと詰まった 17lands.com Analytics を隅々まで読みこなしていきましょう!

17lands.com はこちら

17lands.com Analytics メニュー

私が攻略動画を作る際はこの中でも

  • Format Color Ratings
  • Card Ratings

この二つを見ています。まずはここから見ていきましょう!

Format Color Ratings (色の組み合わせの評価)

参考訳:
選択したイベントタイプにおける各デッキの色の組み合わせについて集計結果を示しています。
タッチ* のあるデッキはタッチのないデッキと分けています。薄い色の行は合計値です。
*ある色のカードが1〜3枚ある場合、色をタッチしていると見なされます。それ以上の場合はメインカラーと見なされます。

イベントタイプの選択

セット

一つ目のプルダウンメニューでセットを選びます。3文字略号がそれぞれのセットに対応しています。

  • AFR … フォーゴトンレルム探訪
  • STX … ストリクスヘイヴン:魔法学院
  • KHM … カルドハイム
  • ZNR … ゼンディカーの夜明け

フォーマット

二つ目のプルダウンメニューでフォーマットを選びます。基本的にはプレミア・ドラフトやクイック・ドラフトを選べば問題ありません。

  • PremierDraft … プレミア・ドラフト
  • TradDraft … マッチ・ドラフト(BO3形式、2本先取)
  • QuickDraft … クイック・ドラフト
  • Sealed … シールド
  • TradSealed … マッチ・シールド(BO3形式、2本先取)

集計期間

三つ目のボックスでは集計期間を指定することも可能です。特にこだわりがなければこのままでもOKです。

Separate Splashes (タッチを分けるかどうか)

チェックを外すと色の組み合わせにタッチを含めて集計することも可能です。ここはお好みでどうぞ。

集計結果の読み方

  • Color … 色の組み合わせ
  • Wins … 勝ち数
  • # Games … 試合数
  • Win Rate … 勝率 (Wins÷# Games)

色の組み合わせ

Mono-color … 1色のみの組み合わせ(?) 5通りあります。

Mono-White 白単色
Mono-Blue 青単色
Mono-Black 黒単色
Mono-Red 赤単色
Mono-Green 緑単色

色の表記として1文字略号もよく使われます。基本的に色の名前の頭文字ですが、青のみ頭文字でなく3文字目のUが略字として使われます。blueとblackで2文字目までかぶってしまいますからね。

W 白(White)
U 青(blUe)
B 黒(Black)
R 赤(Red)
G 緑(Green)

Two-color … 二色の組み合わせです。非常によく使われるためすべて固有の名前がついています。この機会に覚えてしまいましょう。

Azorius(WU) … アゾリウス(白青)
Dimir(UB) … ディミーア(青黒)
Rakdos(BR) … ラクドス(黒赤)
Gruul(RG) … グルール(赤緑)
Selesnya(GW) … セレズニア(緑白)
Orzhov(WB) … オルゾフ(白黒)
Golgari(BG) … ゴルガリ(黒緑)
Simic(GU) … シミック(緑青)
Izzet(UR) … イゼット(青赤)
Boros(RW) … ボロス(赤白)

Three-color … 三色の組み合わせもまたよく使われますのですべて固有の名前で呼ばれます。

Jeskai(WUR) … ジェスカイ(白青赤)
Sultai(UBG) … スゥルタイ(青黒緑)
Mardu(BRW) … マルドゥ(黒赤白)
Temur(RGU) … ティムール(赤緑青)
Abzan(GWB) … アブザン(緑白黒)
Esper(WUB) … エスパー(白青黒)
Grixis(UBR) … グリクシス(青黒赤)
Jund(BRG) … ジャンド(黒赤緑)
Naya(RGW) … ナヤ(赤緑白)
Bant(GWU) … バント(緑白青)

All Decks … 全デッキトータルの集計結果、試合数と勝率が表示されてます。各色の組み合わせを評価する際、基準となる数値です。

試合数

All Decks(全デッキ)の試合数合計に対して1/8以上の数値であれば、8人いたら1人はそのデッキをドラフトしてることになります。ドラフトは8人で行いますので、そのうち毎回1人はそのデッキをやってるということですね。

試合数が比較して極端に少なくなってくると、狙って組めるようなデッキでわないということであったり、そもそも誰も狙ってすらいないということであったり、何らかの理由があると思ってください。

たとえばフォーゴトン・レルム探訪の場合、All Decks(全デッキ)の試合数 425,949 に対して Three-color(3色デッキ) の試合数が合計 10,976 であったとすると、全体のうち 1/39 程度に過ぎず、5回に1回できるかどうかという割合です。全体的に3色デッキは組みづらそうだということが読み取れます。

こういったデッキは基本的に偶然の産物ですので勝率の数値も参考程度に見てください。

勝率

17lands.com にユーザー登録している人の記録です。基本的には50%よりも高くなります。この数値を更に上回る色がいい色だということになります。

フォーゴトン・レルム探訪の場合、All Decks (全デッキ) の Win Rate (勝率) は55.2%と高めですが、特にラクドス(黒赤)の組み合わせは All Decks (全デッキ) の勝率と比べても有意に高い数値です。そのうえ試合数自体も非常に多く、ドラフト1回やって8人のうち2人はこの組み合わせになるということ、色がかぶって取り合いになってもなお強いのだということがわかります!

Rakdos(BR) … ラクドス(黒赤)
# Games … 試合数 109,770
Win Rate … 勝率 58.2%

サブプランを考える

プレミア・ドラフトではカードの取り合いになることを見越して二番手の組み合わせもしっかり確認しておきましょう。

  • 勝率2位:Gruul(RG) … グルール(赤緑), 55.7%
  • 試合数2位:Selesnya(GW) … セレズニア(緑白), 53,735

勝率の二位がグルール(赤緑)である一方、試合数の二位はセレズニア(緑白)となっています。

赤のカードが非常に強力なため、黒赤をやってる人と赤のカードの取り合いをしなければならず、赤緑のデッキが完成する割合が低くなっているということでしょう。カードの取り合いをしなくていいセレズニア(緑白)の組み合わせは平均点を取りやすくねらい目ということが言えますね。

このように、カードの取り合いになってベストデッキが組めない場合でも平均点を取れる方法をバックアッププランとして持っておく。こういった形で色選びに活用していきましょう!

Card Ratings (カードの評価)

参考訳:
各カードに関する情報を示しています。ALSAやATAで並べ替えればカードがピックされる順番、タイミングがわかります。
色の組み合わせで絞り込むこともでき、組み合わせによるパフォーマンス数値の違いが
わかります。色の組み合わせにはタッチを含みます。

イベントタイプの選択

セット

一つ目のプルダウンメニューでセットを選びます。3文字略号がそれぞれのセットに対応しています。

  • AFR … フォーゴトンレルム探訪
  • STX … ストリクスヘイヴン:魔法学院
  • KHM … カルドハイム
  • ZNR … ゼンディカーの夜明け

フォーマット

二つ目のプルダウンメニューでフォーマットを選びます。基本的にはプレミア・ドラフトやクイック・ドラフトを選べば問題ありません。

  • PremierDraft … プレミア・ドラフト
  • TradDraft … マッチ・ドラフト(BO3形式、2本先取)
  • QuickDraft … クイック・ドラフト
  • Sealed … シールド
  • TradSealed … マッチ・シールド(BO3形式、2本先取)

絞り込み

次のプルダウンメニューでさらに条件を指定して絞りこみをすることができます。同じカードでも特にデッキタイプによって指標が変化するカードも多々あるためデッキタイプごとに絞り込みをして指標を確認するのは結構重要です。

  • Color … 色
  • All Decks … デッキタイプ(デフォルトは全デッキ)
  • Rarity … レアリティ

例えば黒赤のデッキタイプで使われる赤のコモンカードという絞り込みをしたい場合は以下のように指定すればいいですね。

色 … Red(赤)
デッキタイプ … BR(赤黒)
レアリティ … Common(コモン)

各種指標の表示

Columns … チェックボックスにチェックを入れたり外したりすることで各種指標の表示をオンオフすることができます。

各種指標の先頭行をクリックするとその指標が大きい順に並べ替えができます。もう一回クリックすると逆の順になります。

Name (カード名)

すべて英語表記ですが、カード名の横の目玉アイコンにカーソルを合わせると画像が表示されます。別途google検索をかけて日本語名やテキストを確認する手もあります。

Color (色)

一文字略号です。基本的に色の名前の頭文字ですが、青のみ頭文字でなく3文字目のUが略字として使われます。

W 白(White)
U 青(blUe)
B 黒(Black)
R 赤(Red)
G 緑(Green)

Rarity (レアリティ)

一文字略号です。 意味はそれぞれ以下の通り。

C コモン(Common)
U アンコモン(Uncommon)
R レア(Rare)
M 神話レア(Mythic)

# Seen … そのカードを見た回数

パックを開けたり隣の人からパックを受け取った時に、そのカードが含まれていた回数をカウントしています。

レアや神話レアはパックに含まれてる絶対数が少ないので、コモンやアンコモンと比べても数値が当然小さくなる傾向があります。同じレアリティ―で比較すると人気のカードはすぐ取られてなくなってしまうため数値が小さくなります。

逆に数値が大きいということは最後まで売れ残っていることで見る回数が多くなっています。カードが安売りされているということですね。

この数値は感覚的につかみにくいので、次の ALSA という指標を見るのがおすすめです。

ALSA (Average Last Seen At) … 最後に見た手番

例えばこの数値が3だったら、そのカードを最後に見たのは3手目で、4手目以降最後まで流れてくることはなかった…ということになります。

この数値が小さいほどすぐ取られてなくなってしまう、人気のカードであるということがわかります。カードが高いなんて言ったりもします。

逆に強いカードなのに意外と安い、というようなカードを見つけられたりすると、カードをたくさん集められるので勝率アップにつながるかもしれませんね。

# Picked … ピックされた回数

実際にそのカードを取った総枚数です。# Picked を # Seen で割ると何かがわかるかも。

ATA (Average Taken At) … 取った手番

例えばこの数値が3であれば、そのカードを平均して3手目にはピックしているということになります。

先ほどの ALSA と似た指標ですが、ALSA は他のプレイヤーが取ってしまったのでなくなってしまったという指標だったのに対して、こちらは 17lands.com のユーザーによるピックの手番となります。

17lands.com のユーザーは平均的に勝率が高めのため、ALSA と比べて順位が入れ替わってるカードなんかは特に注意したいですね。

GP (Games Played) … メインデッキに投入された試合

読んで字のごとく、このカードをメインデッキに入れて行なった試合数とその勝率です。

基本的にはこれが高いほど強いカードだと考えてよいのですが、勝率が高いデッキにたまたま一緒に入っているから結果的に数値がいいだけなのでは?ということもあり得ない話ではないので、一応他の指標と合わせて総合的に判断するようにしましょう。

またストリクスヘイヴンの講義のようなカードはそもそもメインデッキに入っていないため、意味のない指標ということになりますのでご注意ください。

OH (Games in Opening Hand) … 初手に来た試合

これはどちらかというと、実際にゲームが始まった時のマリガンを考える時、何を戻すか迷った時に役立つと思います。

先ほどの GP 勝率と比べてこれが低いカードの場合初手で返しちゃっても問題ないカードという風に言えると思います。

GD (Games Drawn) … 試合開始以降に引いた試合

試合開始以降に引いた試合数と勝率を表します。初手にあった場合は除外します。

正直この指標を使う意味は特にないと思います。

GIH (Games in Hand) … 手札に来た試合

初手に来た時もその後引いた時も含め、手札に引いた時の勝率を表した指標です。

デッキに入れたけど引かなかった、というケースが除外されるため、カードが実際に活躍したかどうかをより直接的に示す最も重要な指標と考えています!

ストリクスヘイヴンの講義カードについても指標に正しく反映されます。

GND (Games Not Drawn) … 引かなかった試合

デッキに入れていたが引かなかった場合の試合数と勝率です。GP 指標から GIH 指標をちょうど引き算したような指標となります。

この後に説明する IWD 指標のために計算しているのだと思いますが、個人的には特に意味のない数値だと思っています。

IWD (Improvement when Drawn) … 引いた時の勝率の上昇値

GIH 勝率から GND 勝率の引き算を行い、カードを引いた時の勝率の上昇値を表します。個人的には特に意味のない数値だと思っていますがそれでも参考程度にはなると思います。

この数値がプラスになっているようでしたら、ゲームの勝利により大きく貢献するカードであり、基本的に初手でピックするほどの価値があると思ってください。

多くのコモンカードはこの数値がマイナスになりますが、感覚的には-2ぐらいまでだったら普通にデッキに入ります。-3あたりからはちょっと怪しくなってきます。

長くなってきたのでまとめ

Card Rating とは…

  • 統計的な根拠に基づいてカードを評価できる
  • ALSA, ATA, GP勝率, GIH勝率あたりは重要
  • 絞り込みも活用しよう!

特に重要と思うところは説明してしまいましたのであとはさらっと見ていきましょう。

Card Performance Comparison (カードの成績の比較)

先ほど Card Ratings の項で説明した様々な指標について、各カードの数値をグラフ上にプロットしてくれるツールです。

例えば横軸を GP 勝率、縦軸を GIH 勝率と指定すれば、各カード対応する座標に点を打ってくれます。

ほとんどのカードは点線の周辺に集まっていますが、ここから大きく上に外れたカードというのは勝利に大きく貢献するカードであったりとか、逆に下に大きく外れたカードは入れてみたらがっかりするカードだった…なんていう風に読み取れます。

先ほどの Card Ratings の表からも読み取れる情報ではあるのでお好みでお使いください。

Card Evaluation Metagame (カード評価のメタゲーム)

ALSA (カードを最後に見た手番)の数値の変化を時系列のグラフにしたものとなります。カードの人気度の変化がわかり、特にプレミアドラフトでは割と参考になるかと思います。

このカードは安定して評価が高いとか、このカードは初期と比べて評価が急上昇してきたとか、読み方を工夫すればいろんなことがわかります。

評価が上がってきてるカードを試してみるもよし、強さの割に順位が落ち込んでいるカードはねらい目ととらえることもできます。

Play / Draw Advantage (先手後手の優位性)

先手後手のことを英語でそれぞれ Play First, Draw First といい、先手後手による有利不利や平均決着ターンをグラフで表したものとなります。

最近のセットでいえば、基本セット2021(M21)、ゼンディカーの夜明け(ZNR)、フォーゴトン・レルム探訪(AFR)といったあたりは平均決着ターン9.0から9.2程度と高速環境であることがわかります。

また、テーロス還魂記(THB)、イコリア:巨獣の棲処(IKO)、ストリクスヘイヴン:魔法学院(STX)、このあたりのセットは平均決着ターンが9.6以上と遅めです。ストリクスヘイヴンではシルバークイルという高速デッキがブイブイ言わせてただけに意外な結果ですね。

そしてエルドレインの王権(ELD)、カルドハイム(KHM)…このあたりは平均的な速度ということになりますね。エルドレインの王権はともかく、カルドハイムはもっと遅いと思ってました。

こんな風に各セットの傾向がわかりやすくなるので結構参考になります!

Recent Trophy Decks (最新の完走デッキ)

7勝完走したデッキのランク帯とピック履歴、デッキリストが直近500件分公開されています。

どういう枚数配分になっているとか、どんなカードが入っているとか、そういうことを気にしながら見ていくと次のドラフトに活かせるので結構参考になります!

Public Data Sets (公開データセット)

より本格的に統計分析したい人向けに未加工のリプレイ・データをダウンロードできるようです。ここまでの情報で物足りない、もっとこういう角度で分析がしてみたい、という熱心な方におすすめです。

たとえばサイト上ではデッキが色の組み合わせで機械的に分類されていますが、これを高速デッキと低速デッキに分けてそれぞれカードパフォーマンスの指標を取ってみたら結構結果が変わるのかなと思いました。

我こそは!という方いらっしゃいませんか?(他力本願)

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