こんばんは。火花の学者、おじょーです。今夜は『ファウンデーションズ』のクイックドラフト攻略を兼ねて、ドラフト初心者が最初にマスターすべき基本形を見ていきましょう。また、ドラフトとはなんだ?という方に向けた簡単なルール説明と、ドラフトというフォーマットの持つ魅力についてもご紹介します。
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ドラフトとは
ルール
ドラフトとは、リミテッドフォーマットの一種であり、パックを開封してその場で40枚のデッキを組んで対戦するフォーマットです。
ドラフトではプレイブースターを1人3パック使用し、4~8人のプレイヤーでカードの取り合いを行います。パックを開封し、出たカードの中から1枚取って(ピックして)自分のカードプールに加えます。残りは隣のプレイヤーに渡し、隣のプレイヤーからもらったパックからも1枚ずつ取っていきます。これを3パック分繰り返し、集めたカードをデッキ構築に使用できます。
ドラフト集めたカードの他、基本土地だけはパックから出ていなくても好きなだけ入れることができます。
ドラフトの魅力
そんなドラフトというフォーマットの持つ魅力は、大きく3つの要素があると考えています。
- カード資産による差がつかない
パックを開封してその場で出たカードだけを使うので、たくさんパックを開封したり、カードを集める必要はありません。お金や時間をたくさんかけられるプレイヤーもそうでないプレイヤーも、同じ土俵で戦えるのが特徴です。
- 新鮮なゲーム体験
パックから出てくるカードは毎回ランダムであり、まったく同じデッキは二度と組めません。毎回新しいカードとの出会いとなり、常に新鮮な気持ちで遊べます。
- 試行錯誤の楽しさ
構築フォーマットはカードを集めることでデッキが強くなっていくのに対して、リミテッドはプレイヤー自身が上達することで強くなっていきます。
こうした特徴から、一生無理なく続けられる趣味であると言えます。筆者も社会人になってから、忙しくなったのであまりカードを触れてなかった、なんてのはよくあることです。離れていた時期に出たカードを調べたり集めなおすのはとても大変です。ドラフトならそんな必要はありませんので、いつでも簡単に復帰できます。古いカードは時間の流れとともに、周りのカードが強くなることで相対的に弱体化されていきますが、一度磨き上げたプレイヤースキルは一生ものです。
ドラフトのここがダメ!
これらの特徴は裏返せば、ドラフトのとっつきにくさでもあります。
カード資産的に対等な条件ということは、逆に言えば高くて強いカードを買う、といったやりかたでの近道はできないということでもあります。限られたカードをやりくりして戦うしかなく、良くも悪くも、プレイヤースキルの差が露骨に出るフォーマットです。
パック開封というランダム要素により、負けたときにその原因がわかりにくいという問題もあります。デッキ構築がまずかったのか。あるいは、デッキはよかったのにプレイングがまずかったのか。そのどれでもなく、単に運が悪かっただけなのか。原因がわからなければ、改善のしようがありません。なぜ勝てないのかがわからないので、ドラフトを楽しめるようになる前に挫折してしまうという方もたくさんいることと思います。
この記事にたどり着いたあなたは幸運です。ドラフトにも近道はあります。ドラフトはあなたが思ってるよりは簡単です。勝てて楽しい!そんな体験の一助となれば幸いです。
決め打ち攻略法とは
決め打ちドラフトとは、引いたパックの内容に関係なく常に同じデッキを組むことを目指すドラフト戦略です。色を固定することで必要なカードも絞られるので、結果的に覚えることが少なくてすみます。重要なカードをたったの7枚覚えておくだけで、プレイヤースキルの差を少なからず埋めることができます。
デッキの型を固定することにより、負けた時に原因を絞り込めるようになる点も大きなメリットです。もし負けてしまっても、デッキのどこに問題があったのか、デッキの完成形と比べて何が足りなかったかという比較分析ができます。あるいはデッキは完璧だったが、どこでどのカードをプレイしていれば勝てたな、というように、なぜ勝てないのかがわかれば必ず上達につながります。
まずは一つの基本型を完璧にマスターしましょう。今回は『ファウンデーションズ』における赤緑という組み合わせで解説しますが、同じようなコンセプトで他のセットや他の色の組み合わせでも応用可能です。根底にある考え方や理由を掘り下げながら解説していくので、ぜひ最後までついてきていただけるとうれしいです。
コンセプト
赤緑パワー4とは
まずは公式によるアーキタイプの説明を確認してみましょう
これはいわゆるアグロデッキで、1ターンでも早く相手を倒すことを目指すデッキです。アグロデッキの中でも赤緑という組み合わせは、パワー4のクリーチャーを次々に展開して、相手を攻撃することに特化した組み合わせです。
なぜ3ではなく4なのかという理由を簡単にご説明しましょう。ライフ20点をカード1枚で削りきることを考えた時、パワー3だと7回の攻撃が必要となりますが、パワー4であれば5回で済みます。このように2ターンもの差が出てくるので、パワー4という数字にはこだわりましょう。
こちらのクリーチャーが攻撃を続けられるよう、除去や強化呪文でサポートする構成にします。赤と緑で除去といえば基本は火力呪文で、相手のクリーチャーにダメージを与えて破壊する類のものです。相手のタフネスが高いと効かなくなるという性質を持っているので、火力が効かない相手には、強化呪文でパワーを上げて突破することを狙いましょう。
デッキ構成例
全体的な枚数配分は、クリーチャー17枚、土地17枚、その他の呪文6枚が基本となります。クリーチャーや土地は17枚入れておくことで、初手7枚のうち平均約3枚という期待値計算になります。これにより初動3ターン目までの動きを確保しやすくなります。
期待値という考え方で同様に、2マナのクリーチャーは初手に1枚以上確保したいので6枚入れます。この6枚という数を基準として、3マナ4マナとマナコストが重くなるにつれて枚数を減らします。これをマナカーブといい、初手に重いクリーチャーが固まりすぎないようにしつつ、序盤から中盤にかけて適切なサイズのクリーチャーをスムーズに展開できるようにする狙いがあります。
残りの呪文の枠のうち、強化呪文は4枚程度、除去は2枚程度というのが最適です。パワー4のクリーチャーはそもそもほとんどのクリーチャーを突破できてしまうので、除去に頼ることはあまりありません。強化呪文であれば、火力除去で突破できないクリーチャーを突破したり、最後の押し込みでプレイヤーに直接ダメージを与えることもできるので、除去よりも使いどころは多いと考えています。
カードの種類 | 小分類 | 枚数 |
---|---|---|
クリーチャー呪文 | 17 | |
2マナ | 6 | |
3マナ | 5 | |
4マナ | 4 | |
5マナ | 2 | |
その他呪文 | 6 | |
強化呪文 | 4 | |
除去 | 2 | |
土地 | 17 |
キーカード解説
パワー4
- 待ち伏せる狼…3マナ4/2、瞬速。出た時墓地からカード1枚を追放する。
瞬速を持っていることで対応力も高く、相手の攻撃に合わせてブロックに回したり、相手が油断して盤面をカラにした返しに反撃するみたいな芸当も可能です。墓地追放能力は相手を選ぶものの、墓地回収しようとしたところに繰り出して無効化するなど、何かと役に立つことがあります。
コモンの3マナ帯はパワー2や3のクリーチャーが大半を占めており、3マナでパワー4というだけで一目置かれます。パワー4という数字の重要性は先ほど述べた通りですので、3マナでパワー4のクリーチャーが取れるならできるだけ取るべきです。
- 混沌蒔き…4マナ4/3。3マナ起動でクリーチャー1体のブロックを制限する。
相手のブロッカーを排除することで実質除去として働きます。起動コストも3マナと軽く、6マナあれば2回起動も現実的な範囲です。複数クリーチャーで総攻撃してゲームセットまで持っていけることもあるなど、強力な能力です。
4マナ帯にもパワー3のクリーチャーがちらほら存在していますが、パワー4のクリーチャーの割合も多く、枚数を確保しやすいマナコスト帯です。そうした事情から、基本的には4マナパワー4のクリーチャーを主力に据えることになるでしょう。
- 血まみれ角の略奪者…5マナ4/4。クリーチャーで攻撃したターンに出すと、好きな対象に2点のダメージ。
攻撃した後でないと能力が誘発しないので、ブロッカーを排除する目的でこそ使えないものの、相手の反撃の目をつぶすなど、相手を追い詰めて有利な状況を作り出すことができます。また、攻撃で残り2点まで詰めた後に直接ダメージで押し込む使い方もあります。
5マナクリーチャーはこのように、出して即座に仕事をすることが求められます。というのも、アグロデッキは6ターン目から7ターン目に決着をつけることを目標としており、5枚目の土地をようやく引けるかどうかというラインです。その時点で即座に仕事をしないということは、そのまま決着が1ターンずれ込み、相手に反撃や立て直しのチャンスを与えてしまうことにもなりかねないからです。
強化呪文
- 巨大化…1マナインスタント。クリーチャー1体に+3/+3修整。
シンプルなテキストですが幅広い用途で使える重要な呪文です。相手がブロックしてきた後に使うことで、サイズ差を逆転して討ち取るなど、実質除去のように使うこともできます。また、ブロックされなかったクリーチャーを対象とすることで、3点分ダメージを上乗せすることもできます。
英語名はGiant Growthといい、略してジャイグロと呼ばれて多くのプレイヤーに愛されている呪文です。マナコストや修整値が異なるものの、同様の効果を持つ呪文がどのセットにも収録されており、ジャイグロ系と呼ばれる一大ジャンルを築いています。こうしたジャイグロ系の呪文は、緑の他に赤や白もある程度得意としているので、アグロデッキを組む際にはこれらの色を取り入れるといいでしょう。
- 居合刀…2マナ装備品。装備しているクリーチャーに+2/+0修整と先制攻撃を付与する。
2マナ2/2などのお姫様のようなクリーチャーを、たちまち4/2のゴリラに変身させることができます。このカードを装備したクリーチャーは、戦闘においてはほぼ無敵といっていいでしょう。タフネス4を超えるようなクリーチャーは限られており、ほとんどのクリーチャーを先制攻撃で一方的に倒せます。
このように、2マナ2/2や3マナ3/2など、打点が一歩足りないクリーチャーの底上げを図ることで、デッキ内すべてのクリーチャーを終盤まで活かし切ることができます。これが装備品を採用する大きな理由です。
除去
- 噴出の稲妻…1マナインスタント。好きな対象に2点のダメージ。キッカーにより4点火力になる。
このカードが最も輝くのは後手スタート時の初手です。相手が初手に展開した2マナクリーチャーを1マナで除去することで、相手の2ターン目の動きをつぶしたうえで、こちらが一方的に2マナクリーチャーを展開できます。
後手スタートという不利な状況を一手で逆転することができ、このようなカードを「後手のゲーム参加券」と呼ぶことがあります。そうした意味で、たくさんは必要ないけど、1枚か2枚はデッキに入れて「後手保険」に加入しておきましょう。
もちろん本体火力でもあるので、ゲーム終盤にも対戦相手に打ち込むという選択肢があり、いつ引いても役に立つカードです。
- 噛み締め…2マナインスタント。相手のクリーチャー1体に、味方のクリーチャー1体のパワー分のダメージ。
一般的な除去と同様、相手のブロッカーをどかして攻撃を通したり、相手のメインアタッカーを除去して反撃の目を潰すのに使います。こちらはパワー4のクリーチャーで固めているので、ほとんどのクリーチャーを除去することができます。
このカードにスタックで除去を打たれると、相手のクリーチャーへのダメージが飛ばなくなり、実質カード2枚を損するというリスクがあるので、相手のマナや手札枚数には注意しましょう。味方のクリーチャーがいないと使えない関係上、「後手保険」としての使い方ができないのも難点です。
その他候補カード
2マナ以下のクリーチャー
- ラノワールのエルフ…1マナ1/1。(G)を加える。
言わずと知れたマナクリーチャー。マナ加速により、パワー4のクリーチャーを2ターン目に展開できます。展開を1ターン早めることで、決着ターンも1ターン早まるので、ゲームに与える影響は計り知れないほど大きいです。
実際、パワー4のカードよりもデータ上の勝率は高く出ていますが、それは2ターン目にパワー4のクリーチャーが引けてこそ。やはり基本は、パワー4の主力級クリーチャーを集めることに注力したい。
- 用心深い演劇役者…2マナ3/1。出た時と死亡時に諜報1。
パワー2のクリーチャーが大半を占める2マナ帯において、パワー3であるというだけで一目置かれるカードです。2マナ3/1、3マナ4/2と展開すれば合計7点となり、3回攻撃すればゲームを終わらせることができます。また、相手の4マナ4/3相当のクリーチャーまで相討ちが取れるので、ブロックに回ってもいい仕事をしてくれます。
- 威勢のいいゴブリン…2マナ2/2。パワー4以上のクリーチャーがいれば、3/2威迫。
条件付きで2マナパワー3になれる優秀なアタッカーです。≪居合刀≫を装備することでセルフでパワー4条件を達成して、5/2、先制攻撃、威迫と能力山盛りになります。およそ何人たりともブロックを許さない無敵のゴリラアタッカーが爆誕するので覚えておきたい。
- ナーリッドの群棲…2マナ2/2。キッカーで4/4になる。カウンターが乗っているクリーチャーにトランプルを付与する。
序盤の2/2としても、パワー4の主力としても使える柔軟性の高さが売りです。トランプル付与も地味にありがたく、相手の1/1でのチャンプブロックにもスキを見せることがなくなります。
3マナクリーチャー
- 眷属のレインジャー…3マナ3/3、トランプル。クリーチャーが出るたびに+1/+0修整。
条件付きでパワー4以上になれるので、喜んで飛びついていい。トランプルも相まってアタッカーとしての信頼性は高いです。攻撃前にマナを使ってしまう関係で、≪巨大化≫などのバットリと相性があまりよくないのが玉にキズです。
- ゴブリンの乗り込み隊…3マナ3/2。クリーチャーで攻撃したターンに出すと4/3になる。
条件付きでパワー4以上になれるので素直に採用です。出すときに一度だけ条件を満たせればいいというのがお手軽です。2マナクリーチャーが引けてなかったり除去されたりして攻撃できず、ただの3/2として出さざるを得ない、みたいな状況には注意しましょう。
4マナクリーチャー
- 哄笑するこそ泥…4マナ4/3、護法(2)。クリーチャーが死亡したターンの終了時に、+1/+1カウンターを置く。
4マナでパワー4の時点で主力級なのに能力も強い。除去耐性も持っており、長く盤面に居座ることにメリットのある下の能力を活かしやすくなっています。タフネスが上がることも大きく、2回能力が誘発してタフネス5に達してしまうと、もう対等に戦えるクリーチャーは皆無です。
5マナ以上のクリーチャー
- 踏み鳴らす薬屋…6マナ4/4、警戒。出た時、クリーチャー1体に+1/+1カウンター2個を置く。
もう一つモードがあったような気がするが、このデッキにおいては99%ぐらいの確率で上のモードを選ぶことになる。出た時に仕事をするという条件は満たしているので、充分候補として考えられます。
実質6/6相当と巨大だが、マナ加速なしでの6マナは相当重いです。採用するなら土地を18枚に増やすことも検討しましょう。
その他呪文
- 確実な一撃…2マナインスタント。クリーチャー1体に+3/+0修整と先制攻撃を付与。
≪巨大化≫と同様、パワーを底上げすることで相手のクリーチャーを一方的に倒す使い方ができるほか、
プレイヤーに与えるダメージを上乗せすることもできます。
≪巨大化≫と比べてしまうと相対的にマナコストが重く見えるものの、マナコストに見合う働きは充分見せてくれます。≪巨大化≫のコスパが異常なだけです。
- 焼却破…5マナソーサリー。クリーチャー1体に6点のダメージ。
正直重すぎる。できることなら入れずに済ませたいが…。他に除去が取れていなくて仕方なく入れてみると、意外と活躍することがあります。何でも焼ききれるバカみたいな火力の高さに加え、最終盤にカードを引き直して逆転の1枚を探しにいける点も評価できます。
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