こんばんは。火花の学者、おじょーです。この記事は、『マジック:ザ・ギャザリング | ミュータント タートルズ』のドラフトにおける白黒アグロの組み方について解説します。
先日投稿したYouTubeの動画では、主に「どのように組むのか?」を解説しました。ただ、動画を見てくださった方の中には、「なぜそうなるのか?」と疑問を持った方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこでこの記事では、そういった「なぜ?」にひとつずつ答えていこうと思います。
ではまず、このデッキの考え方の出発点から見ていきましょう。
関連動画
この記事は、動画を見ていない方にも読んでいただけるよう構成していますが、動画とセットで読んでいただけるとより理解が深まるかと思います。
1ゲーム目(00:00~03:03)
動画の要点
白黒デッキを一言でいうなら、横並べアグロです。クリーチャーを並べて、レオナルドで殴る。やることはだいたいこれです。
レオナルドは、味方のクリーチャーの数だけパワーが上がるので、軽いコストで大きな打点を出すことができます。
4ターン目という早いターンから4点ぐらいの打点を出して、速攻を仕掛ける、そんな動きになります。


なぜパワー4なのか?
動画の中で、以下のように触れています。
ここで意識したいのが、パワー4という数値
ではなぜ、3でも5でもなく、4なのでしょうか?まずライフは20点なので、攻撃回数を単純に計算してみます。
パワー3だと、6回攻撃しても18点止まりなので、7回攻撃しないと勝てません。ところがパワー4になると、5回の攻撃で20点ちょうど削り切れます。つまり、パワー3がパワー4になるだけで、必要な攻撃回数が2回も減ることになります。アグロデッキにとって、この2ターン短縮はかなり大きいです。
では、パワー5まで上げるのはどうでしょうか。パワー5なら4回の攻撃で勝ちなので、パワー4よりさらに 1ターン短縮できます。ただし、ここで問題になるのがコストです。パワー4のクリーチャーを、装備品や強化呪文でパワー5にするためのコストを考えると、その投資で得られるのは「1ターン短縮」だけというケースが多い。
そう考えると、
- パワー3 → パワー4:大幅な効率アップ
- パワー4 → パワー5:改善はするが伸び幅は小さい
つまり、攻撃回数とコストのバランスを考えると、パワー4というラインがいちばん効率がいいというわけです。
本当に、そんなに早くクリーチャーを並べられるの?
クリーチャー4体を早めに並べる
動画では簡単に言っていますが、ここでひとつ疑問が出てくると思います。「本当にそんなに早くクリーチャーを並べられるのでしょうか?」
例えば、2ターン目から4ターン目まで毎ターン1枚ずつクリーチャーを出すと、場に並ぶのは3体です。つまり、どこかのターンで2体展開する必要があります。
もちろん、普通にクリーチャーを4枚引いて手札から4体並べることもできます。ただ、4ターン目までに引くカードは初手7枚+3ドローで合計10枚。このデッキはだいたいクリーチャー17枚前後なので、10枚引いたときにクリーチャーはざっくり4枚前後です。つまり、理論上は4体並べられるけれど、実際にはかなりギリギリ。
そこで重要になってくるのがトークン生成です。1枚のカードからクリーチャーが2体出てくれれば、一気に横並べの条件を満たしやすくなります。
このデッキでトークン生成が高く評価される理由は、単純にクリーチャーが増えるからというより、「早いターンに4体並べる」という勝ち筋を安定させてくれるからなんですね。
ここで、もうひとつ疑問が出てくると思います。「レオナルドとトークン生成、どちらを優先して取るべきなのか?」
《ビッグ・ブラザー、レオナルド》は、このデッキの看板カードです。横並べができればパワーがどんどん上がり、それだけでゲームを終わらせる打点を出してくれます。ただし、その強さは「横並べができていること」が前提になります。そして実は、この「横並べ」を支えているカードはそれほど多くありません。
特に、4ターン目までにプレイできて横並べできるカードは、このセットでは実質この2種類です。つまり、この2枚を取れるかどうかでデッキの安定感がかなり変わってきます。


ここで参考になるのが、17Landsの ALSA (Average Last Seen At) という指標です。これは「カードが平均して何手目まで残っているか」を示す数字で、数値が低いほど早い順目で取られているという意味になります。今回のデータを整理すると、こんな感じになります。
- パワー4アタッカー
| カード | ALSA |
|---|---|
| 果てなき執念、シュレッダー | 4.05 |
| ビッグ・ブラザー、レオナルド | 5.21 |
| フット団員 | 5.96 |
| イボイノシシの猛者、ビーバップ | 7.11 |
- トークン生成
| カード | ALSA |
|---|---|
| ラスト・ローニンの奥義 | 3.36 |
| ロード・ドレッグ | 3.69 |
| ニンジャのメカ騎兵 | 4.36 |
| タートルバルーン | 5.50 |
| ジェニカ | 6.22 |
ここで注目したいのは、横並べカードの多くが、かなり早い巡目でなくなっていることです。特に、《ラスト・ローニンの奥義》《ニンジャのメカ騎兵》といったカードは、《ビッグ・ブラザー、レオナルド》よりも平均して早く取られていることが分かります。
つまりドラフトでは、「横並べを作るパーツのほうが先に消えてしまう」という状況が起きやすいわけです。そのため、デッキを安定させたい場合は「レオナルドより先にトークン生成を取る」という判断が正しくなることも少なくありません。
《ビッグ・ブラザー、レオナルド》は確かに強力なカードですが、それを最大限活かすためには「横並べできるデッキになっているか?」を常に意識してピックすることが重要になります。
デッキ構成(03:03~03:51)
なぜ2マナは6枚なのか?
本当は2マナ帯を6枚くらい欲しかった
ここで疑問になるのが、なぜ6枚なのか?という点です。
これはシンプルに、初手に来る枚数の問題です。40枚デッキの中に2マナ帯が6枚入っているとすると、初手7枚を引いたときに引ける枚数は平均すると約1枚になります。つまり、「だいたい毎回1枚は持っていそう」とざっくり計算できます。
一方で、2マナ帯が5枚しかない場合はどうでしょうか。この場合、初手に引ける枚数の平均は約0.88枚になります。つまり体感としては、「初手にないゲームが結構ある」という状態になります。アグロデッキにとって、2ターン目に何もできない展開はかなり痛いです。
そのため、このタイプのデッキでは「初手に1枚ある前提で動ける」ラインとして、2マナ帯6枚をひとつの目安にしています。
ちなみに今回は6枚には届きませんでしたが、代わりに2マナのインスタント除去を取れていたので、その枠である程度カバーできています。
除去はクリーチャーの代わりになる?
2マナのインスタント除去は取れているので、2ターン目に何もできず棒立ち、みたいな初手にはなりにくい
ここで疑問になるのが、「本当に除去でクリーチャーの代わりになるの?」という点です。
アグロデッキで2ターン目に何もできないと何が問題かというと、相手だけが2マナの動きをすることです。そうなってしまうと、テンポで一方的に遅れてしまいます。
ところがここで、2マナの除去があると話が変わります。相手が2ターン目にクリーチャーを出してきたところで、それをすぐ除去できれば、お互い盤面が空の状態で3ターン目を迎えられます。つまり、2マナクリーチャーを出したのと同じくらいテンポを保てるわけです。
では、ここでひとつ疑問があります。「ソーサリー除去ではだめなのか?」
結論から言うと、インスタントのほうがかなり優秀です。特に先手の場合、2ターン目にソーサリー除去を打とうとしても「そもそも対象がいない」という状況がよく起きます。一方でインスタント除去なら、相手の2マナクリーチャーだけでなく、先手の3マナクリーチャーにも柔軟に当てることができます。
このように、2マナ除去はテンポを取り返す役割を持っているため、条件によっては2マナクリーチャーの代わりとして機能することがあります。
パワー4のクリーチャーは実際どのくらい少ないのか?
白黒は、とにかくパワー4のクリーチャーが少ない
と言っていますが、では、実際どのくらい少ないのでしょうか?
まず、無条件でパワー4以上のクリーチャーを見てみます。2色合わせてもわずか3種類しかありません。



次に、条件付きでパワー4になるカードです。





安定してパワー4になるカードはほとんどありません。《東風の守護者》や《小さな孤児の両生種、リタ》は、主軸にするには不安が残ります。《青を纏うリーダー、レオナルド》の全体強化も1ターンきりなので、《青を纏うリーダー、レオナルド》を出す前に他のカードで削っておかなければ、真価を発揮しません。
《マイティ・ミュータニマルズ》は、パワー4になる条件自体はかなり緩いのですが、ALSA 2.67と非常に人気が高く、そもそもドラフトで取れる前提にしづらいカードです。
このように、安定してパワー4に達するカードはかなり限られているということになります。
他の色とも比較してみましょう。例えば緑の場合、無条件でパワー4のクリーチャーがコモン3種類、アンコモン:3種類存在します。つまり緑は、普通にドラフトしているだけでパワー4が集まる色です。
それに対して白黒は、意識して集めないとパワー4が足りなくなる色と言えます。だからこそ、このデッキでは「パワー4を何枚確保できているか」を常に意識してドラフトする必要があります。
なぜパワー4は5枚なのか?
パワー4のクリーチャーは、レオナルド込みで6枚あります。
このデッキでは5枚あれば合格ラインです。
では、なぜ5枚なのでしょうか。
まず考えたいのは、そもそも5枚集めることが現実的なのかという点です。前の節でも見たように、白黒で安定してパワー4を出せるカードはそれほど多くありません。主な候補はこのあたりです。




ただし事情はそれぞれ違います。
- 果てなき執念、シュレッダー → アンコモンなので入手やや難
- イボイノシシの猛者、ビーバップ → 5マナとやや重いので1枚程度
- フット団員 / レオナルド → ここを複数枚確保したい
つまり実際のドラフトでは、
- 果てなき執念、シュレッダー … 1枚
- イボイノシシの猛者、ビーバップ … 1枚
- フット団員 or レオナルド … 2~3枚
といった形で、ギリギリ届くラインが5枚になります。ちなみに動画のデッキは6枚入っていましたが、これはやや上振れ気味の構成です。
では次に、5枚で本当に足りるのか?という話です。
ここでも少しだけ期待値を考えてみます。40枚デッキにパワー4クリーチャーが5枚入っている場合、
初手7枚に含まれる枚数の平均は 約0.88枚。つまり、初手にあるかどうかは半々くらいです。そして2ターン目までに引くカードを含めると、平均でちょうど1枚程度になります。
つまり実際のゲームでは、「早い段階でパワー4を1体引き込み、それで攻めをつないでいく」という展開になりやすいわけです。
もちろん理想を言えば6枚欲しいところですが、ドラフトで現実的に集められる枚数とバランスを考えると、「5枚あれば合格ライン」という目安になります。
強化呪文と除去はどうバランスを取る?
アタッカーを確保できれば、強化呪文は最小限にして、除去を5枚と厚めに取ることができます
ここで疑問になるのが、本当にそれでバランスが取れるのか?という点です。
これを考えるには、
- デッキがどれくらい強化呪文を必要としているのか
- 実際のドラフトでどれくらい供給されるのか
この2つを見る必要があります。
このデッキは、レオナルドなどのパワー4クリーチャーで5回攻撃すれば勝てる設計になっています。つまり、おおよそ8ターン目前後でゲームが終わる想定です。そしてこのデッキにおいては、7ターン目までに、アタッカーや強化呪文を引きたいということになります。
動画で組んだデッキでは、アタッカーが6枚、強化呪文が1枚搭載されていて、合計7枚となっています。このとき、引いてくるカードの枚数はおよそ2枚となります。だいたい2枚あれば充分かなという感覚です。
さらに重要なのが、この環境では強化呪文の選択肢が少ないという点です。主な候補は次の通りです。




この中で安定して使えるカードは、実質《ごく普通の刀》くらいです。《シュレッダーの甲冑》は修正値の大きさが目につきますが、実際に運用してみると、再装備コストがあまりにも重すぎて、実質1回で使い切りのオーラというような感覚でした。ミュータンジェンでもキメてないと無理。
つまりこの白黒アグロは、「強化呪文はそもそも供給が少ない」「デッキ側も大量には必要としていない」という事情があります。だからこそ、「強化呪文は最小限にして、除去を厚めに取る」という構成が自然に成立するわけです。
ドラフト(03:51~08:25)
なぜ白からドラフトを始めるのか?
動画では、この環境のドラフト卓は次のような構図になりやすいと説明しました。
17Lands.comの統計を見ると、白と赤の勝率が高いみたいなんですね。
そうなると、ちょうど対抗色の赤白を狙いたくなるんですが、この組み合わせは人気カラーなので取り合いになりがちです。
そこで卓の中で棲み分けが起きて、白から入った人は黒へ、赤から入った人は青へ流れていく。結果として、白黒と青赤の二大勢力みたいな構図になります。
この説明自体は、実際のドラフト卓の動きとしてそこまで外れていないと思います。ただ、後からデータをもう少し詳しく見てみると、少し面白いことが分かりました。
ここでもまた、17Landsの ALSA 指標を見ていきます。コモン・アンコモンのALSAを色ごとに平均すると、今回の環境では次のような数値になります。
| 色 | ALSA |
|---|---|
| 白 | 4.85 |
| 青 | 5.71 |
| 黒 | 5.13 |
| 赤 | 5.74 |
| 緑 | 5.31 |
これを見ると、白に人気が集中していることがはっきり分かります。一方で意外なのが赤で、勝率は高いにもかかわらず、そこまで人気が高いわけではないようです。
つまりこの環境では、
- 白 → かなり人気
- 黒 → そこそこ
- 青・赤 → 比較的空きやすい
という卓の傾向になっている可能性があります。
この状況を踏まえると、ドラフト卓では次のような流れが起きやすいと考えられます。
まず多くのプレイヤーが白から入る。そしてその一部が黒に流れて、白黒デッキになります。ただし黒は白ほど人気ではないので、後からカードを集めやすい色でもあります。
また、白黒を狙って白から入ったものの黒が流れてこない場合は、空いている赤に乗り換えて赤白になることもあります。さらに、白が人気なのを見越して、最初から青赤を狙うプレイヤーも一定数いるでしょう。
こうした動きの結果、卓全体では
- 白黒
- 青赤
といった勢力ができやすい、という構図になります。そのため、白黒をやりたい場合は「まず白を確保しておく」というドラフトの入り方が安定します。



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