【事前研究】『ストリクスヘイヴンの秘密』ドラフト:シルバークイルアグロの組み方

SOSリミテッド

こんばんは。火花の学者、おじょーです。今回は、『ストリクスヘイヴンの秘密』ドラフトで圧倒的な勝率を誇り、環境の主流派と言える「シルバークイル(白黒)」の組み方について、17Lands.comの統計データを見ながら研究していこうと思います。

白軸併願ドラフトという罠

17Lands.comの統計データによれば、「ロアホールド(赤白)」と「シルバークイル(白黒)」が環境の1位2位を独占しており、白という色が最強に見えます。つまり、白を主軸にしつつ、ロアホールドとシルバークイルの2つの学部を「併願」する、という戦略が自然に見えますが、話はそう単純ではありません。

学部Wins#Games勝率
ロアホールド(赤白)363376269358.0%
シルバークイル(白黒)280424887257.4%
クアンドリクス(緑青)181633317654.7%
プリズマリ(青赤)314585779854.4%
ウィザーブルーム(黒緑)239234410854.2%

なぜなら、ロアホールドとシルバークイルは、戦略の方向性が真逆となっており、必要なカードのラインナップが全く異なるからです。学部ごとにカードの役割が極端に特化しているため、どっちつかずの併願を続けた結果、デッキの出力が中途半端になり、空中分解してしまうリスクが非常に高いのです。

したがって、この環境で再現性のある勝利を掴むなら、迷いを捨てた「専願」こそが最も生存率の高い戦略である、と言えます。

コンセプト

この環境における唯一のアグロ(速攻)な組み合わせ。

《才気の代償》や《無言の言い渡し》でアドバンテージを取りつつクリーチャーを強化する、テンポ重視のアグロです。《傲慢な墨魔道士》や《墨獣のマスコット》などの軽量アタッカーを主軸に据え、最後は《憂鬱な詩人》の直接火力で詰め切る構造を目指します。

即妙

即妙とは、あなたが、クリーチャーを対象としていて、インスタントやソーサリーである呪文1つを唱えるたびに誘発する、という意味合いの能力語です。

ここで注目すべきは、その誘発条件です。対象とするクリーチャーは、敵味方は問いません。つまり、味方の強化呪文でも、相手のクリーチャーへの除去呪文でも誘発します。即妙を効果的に誘発させるためには、強化呪文や除去呪文の枚数をいかに確保するのか?がポイントとなります。

除去よりも強化呪文

ここが、シルバークイル専願において最も重要なポイントです。なぜ除去を後回しにしてまで、強化呪文を優先すべきなのか。そこには構造的な2つの理由があります。


(理由1) 即妙は相手のクリーチャーを対象にしても誘発しますが、それは「相手がクリーチャーを出していること」が前提の受動的な動きです。一方で強化呪文は、自分のタイミングで能動的に即妙を誘発させ、計算通りの打点を叩き出すことができます。この1ターンのズレが、アグロにとっては死活問題となります。


(理由2) 除去は基本的に1対1交換の「受け」のカードですが、シルバークイルの主要な強化スペルは、強化以上の付加価値をもたらします。

  • 《才気の代償》…味方を強化しつつ、ライブラリーから追加のアタッカーを供給する。
  • 《無言の言い渡し》…味方を強化しつつ、相手の手札(後続の脅威)を排除する。

「攻め」の手を緩めずにリソースを回復・破壊するこの構造は、単なる除去には真似できません。除去を打っているだけではリソースが枯渇して「じり貧」になりますが、これらのスペルは「勝利への速度」と「継戦能力」を同時に提供してくれます。

直接ダメージ

アグロデッキにとって、考えうる最悪のシナリオ。それは「相手のライフを残り数点まで追い詰めながら、盤面を固められて削り切れずに逆転される」ことです。このシナリオを回避するため、シルバークイル専願においては「直接ダメージ」の手段を構造的に組み込んでおく必要があります。

才気の代償

強化スペルの項でも取り上げましたが、このカードは本体火力として使うこともできます。

通常、このカードは「自分を対象にして2点払い、2枚引く」リソース回復手段として使われます。しかし、相手のライフが残りわずかであれば、対戦相手を対象に「2点の直接火力」として叩き込むという選択肢を常に持っておくべきです。

憂鬱な詩人

即妙誘発により相手に1点のダメージを飛ばします。1回1回は微々たるものですが、強化スペルを連打するこのデッキの構造上、これが3点、4点と積み重なれば、戦闘を介さずに勝負を決められる「実質的な火力呪文」へと変貌します。

17Lands.comの統計データにおいて、このカードがコモンのクリーチャーで最高クラスの勝率を記録しているのは、単なるスペックの高さではなく、この「盤面に依存しない決定力」があるからに他なりません。

デッキ構成

典型的なアグロ型の考え方でマナカーブを考えることになります。

カードの種類小分類枚数
クリーチャー15
2マナ6
3マナ5
4マナ4
呪文8
強化呪文6
除去2
土地17

クリーチャーは15枚

クリーチャーは15枚が適正枚数になるのではないかと仮説を持っています。理由としては、以下の2つが挙げられます。

  • 即妙能力を効果的に使うために、呪文の枚数を多めに確保したい。
  • 《才気の代償》さえ打てれば追加のクリーチャーを確保できる可能性が高い。15枚程度であれば、《才気の代償》の対象には困らず充分と言える。

5マナクリーチャーは不要

5マナクリーチャーの優先度は高くないと考えています。単純な理由としては、5マナクリーチャーはあまり勝率に貢献していないことがデータから示されているため。

5マナが出るターンには、単体の重量級を出すよりも、《才気の代償》+2マナアクションで『盤面の強化』と『手札の補充』を同時に行うべきです。5マナクリーチャーはこの合理的なアクションを阻害する不純物でしかありません。

ピック優先度

ここまでに挙げたキーカードのALSA値を見ていきます。そうすれば、どのカードから取るべきかがおのずから見えてきます。

カード名分類ALSA
(参考)最後の喘ぎ除去3.82
(参考)道に迷う除去3.86
憂鬱な詩人本体火力5.36
才気の代償本体火力/強化/ドロー6.27
傲慢な墨魔道士アタッカー6.70
墨獣のマスコットアタッカー6.70
無言の言い渡し強化7.18

このデータから導き出される結論は明白です。すなわち、「盤面に依存しない出口戦略(本体火力)」である《憂鬱な詩人》と《才気の代償》を最優先で確保せよ、ということです。次いで軽量アタッカーという順番になります。

特筆すべきは、黒の除去カードのALSAが軒並み「3点台」という極めて高い競争率を示している点です。人類が積み上げた定石では「除去は優先」とされますが、シルバークイルにおいては、貴重な手番を費やして不毛な除去争奪戦に参加するのは悪手です。そんなものは、除去なしでは何もできない落ちこぼれのウィザーブルームにでもくれてやりましょう。

我々は悠々と、6手目以降でも流れてくる《才気の代償》や軽量アタッカーを拾い集め、構造的な勝利を盤石にする。これこそが、データと論理から導き出される最強のドラフト戦略です。さあ、皆さんも不毛な争奪戦を卒業し、構造的な勝利を手にするための『内定』を勝ち取りにいきましょう。


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