ドラフトデッキの新常識!クリーチャー17枚入れるべき理由とは【MTGアリーナ リミテッド】

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私たちはこれまでの義務教育において、ドラフトデッキのクリーチャー枚数は16枚と教わってきました。しかし、これからのドラフトではクリーチャー17枚というのが新しい常識になります。

この記事では、近年のドラフト環境に訪れた変化を踏まえ、これからのドラフトデッキにおいて必要とされるクリーチャーの枚数について考えを述べます。

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ドラフト環境の高速化

『フォーゴトン・レルム探訪(2021年7月)』以降、バニラ(能力なし)クリーチャーが収録されなくなり、年々コモンクリーチャーの質が引き上げられています。更に『カルロフ邸殺人事件(2024年2月)』以降ブースターパックの仕様が変更となり、アンコモン、レアが増量したことで全体の質が引き上げられました。これらの変化が重なり、ドラフト環境は以前と比較して著しく高速化が進んでいます。

17Lands.com の Format Speed よりプレミアドラフトの決着ターンに関する統計を見ると、ドラフトの時代区分を「ファイ完前」「ファイ完後」で分けることができます。「ファイ完後」のドラフトの決着ターンは、「ファイ完前」の平均よりも0.6ターン短い8.8ターン前後で推移しており、今後のドラフト環境ではこの速度に順応していかなければなりません。

平均決着ターンの推移…17Lands.com – Format Speed のデータをもとに作成

『エルドレインの王権(2019年10月)』~『兄弟戦争(2022年11月)』までの少なくとも3年間にわたり、ドラフトの決着ターンは9.4ターン前後で推移してきました。『基本セット2021(2020年7月)』や『フォーゴトン・レルム探訪』など、9.0ターン近いセットもたびたび出現し、それらは高速環境と位置付けられてきました。

『ファイレクシア:完全なる統一(2023年2月)』では歴代最速の8.4ターンを記録し、すべてのセットを過去のものにしました。ここから「ファイ完後」の時代が始まり、『エルドレインの森(2023年9月)』の8.7ターンは「ファイ完後」でもさすがに速めの印象ですが、『イクサランの洞窟(2023年11月)』の8.8ターン、『サンダー・ジャンクションの無法者(2024年4月)』の8.9ターンは「ファイ完後」では普通です。『機械兵団の進軍(2023年4月)』や『カルロフ邸殺人事件』は9.0ターン近い数値となっていますが、もはや遅いとすら感じます。

毎ターン展開するには

決着ターンが9ターンを切っているということは、アグロ(高速デッキ)であれば7ターン目には決着が見えているということになります。2ターン目から6ターン目にかけて、クリーチャーを毎ターン展開できるかどうかが勝敗を左右することになり、それには実行可能解が存在します。

下記の表では、デッキ内のクリーチャー枚数に対し、手札に引けるクリーチャー枚数の期待値を計算しています。デッキ内のクリーチャー17枚とは、6ターン目の手札に5枚以上という要件を満たすことができる下限の枚数です。16枚ではこの要件を満たせず、少し足りないということになります。

ターン数15枚16枚17枚18枚19枚
初手2.6252.82.9753.153.325
2ターン目3.03.23.43.63.8
3ターン目3.3753.63.8254.054.275
4ターン目3.754.04.254.54.75
5ターン目4.1254.44.6754.955.225
6ターン目4.54.85.15.45.7
7ターン目4.8755.25.5255.856.175
8ターン目5.255.65.956.36.65

2ターン目パスは危険

「ファイ完後」のドラフトが高速化したことにより、2マナ~3マナ圏の重要性が高まっています。
特に、超高速環境である『ファイレクシア:完全なる統一』や『エルドレインの森』のドラフト環境においては、2ターン目パスは命取りになりかねません。

アグロであれコントロール(低速デッキ)であれ、初動の2、3ターン目には何らかのアクションを取る必要があります。はっきり言えば、「ファイ完後」のドラフトにおいて、2マナ、3マナのカードを初手に引くことが要求され、それがデッキ構築の前提になっているということです。

マナカーブの推奨要件

2マナクリーチャーは6枚以上入れることを推奨します。このとき、初手における期待値が平均1.05枚となります。5枚では期待値0.875枚となり、1.0枚を割っているのでおすすめできません。

3マナクリーチャーも5~6枚欲しいところ。少なくとも5枚入っていれば、3ターン目までに期待値1.0枚を超えます。同様の理由で、4マナクリーチャーは4枚がおすすめです。4ターン目の時点で期待値1.0枚とちょうどいい枚数です。

ターン数3枚4枚5枚6枚7枚
初手0.5250.70.8751.051.225
2ターン目0.60.81.01.21.4
3ターン目0.6750.91.1251.351.575
4ターン目0.751.01.251.51.75
5ターン目0.8251.11.3751.651.925
6ターン目0.91.21.51.82.1
7ターン目0.9751.31.6251.952.275
8ターン目1.051.41.752.12.45

このように6枚、5枚、4枚と配分すると見た目にも綺麗で覚えやすいので、私はいつもこの枚数をベースにしています。ここでクリーチャーの合計枚数を16枚とすると、5マナクリーチャーの枠は1枚となります。しかし、5マナクリーチャーの枠は少なくとも2枚、できれば3枚は欲しいところです。

6枚、5枚、4枚、3枚と配分すれば、合計18枚となり、ここからデッキコンセプトに合わせて、どこか1枚を除去等に置き換えるとだいたいうまくいきます。

アグロ(高速デッキ)の場合

初動はクリーチャー展開が基本なので、2マナ3マナを削ることはあり得ません。4ターン目までにクリーチャーを展開した後、5ターン目は除去や強化呪文で盤面をこじ開けるという動きになることも多々あります。そこで5マナクリーチャーの枠を1枚、除去や強化呪文に置き換えるのがおすすめです。

コントロール(低速デッキ)の場合

2マナクリーチャーは長期戦になった時の価値が低いため、できればここの枚数を減らしたいところです。そこで、2マナクリーチャーの代わりに2マナの軽量除去や打ち消しと置き換えるのがおすすめです。

相手の2ターン目の動きをなかったことにすれば、その後3ターン目、4ターン目の動きで追いつくことができます。5ターン目まで粘ることができれば、そこからは5マナの重量級を次々に投入して盤面を制圧できます。

除去から取るのはもう古い

繰り返しになりますが、「ファイ完後」のドラフトにおいてクリーチャーの重要性が高まっています。クリーチャーは除去より優先して取る。それが「ファイ完後」の新しい常識です。どんなデッキでもクリーチャーは絶対に必要ですが、除去は必ずしも取らなくても問題ないことがあります。ドラフトの序盤はクリーチャーをかき集めることに集中し、中盤以降余った手数で1~2枚取れば充分です。

除去はクリーチャーより優先して取る。除去はクリーチャーの代わりになる。かつてはそう教わったものでしたが、「ファイ完後」においては、クリーチャーの代わりはどこにも存在しません。クリーチャーは対戦相手に攻撃して勝つための手段であると同時に、守りの要でもあります。

プレイブースターへの変更に伴い複数枚のボムレアが取れるようになったことは言わずもがなです。コモンクリーチャーですら1枚で2枚分の働きをしたり、無視できない4/4のクリーチャーがコモンで4マナということも珍しくありません。

除去から取っていく発想でデッキを組むと、そうしたコモンにまでいちいち除去を切る状況に陥りがちとなり、除去が尽きたころにボムレアを投入されてすべてを失うことになります。4/4に対してはこちらも4/4をぶつけるのが最適解という時代に突入しました。

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