こんばんは。火花の学者、おじょーです。今夜は、『ストリクスヘイヴンの秘密』ドラフトで圧倒的な勝率を誇り、環境の主流派と言える「ロアホールド(赤白)」の組み方について、17Lands.comの統計データを見ながら研究していこうと思います。
併願ドラフトという罠
「ロアホールド(赤白)」と「シルバークイル(白黒)」が環境の1位2位を独占しており、白という色が最強に見えます。つまり、白を主軸にしつつ、ロアホールドとシルバークイルの2つの学部を「併願」する、という戦略が自然に見えますが、話はそう単純ではありません。
| 学部 | Wins | #Games | 勝率 |
|---|---|---|---|
| ロアホールド(赤白) | 36337 | 62693 | 58.0% |
| シルバークイル(白黒) | 28042 | 48872 | 57.4% |
| クアンドリクス(緑青) | 18163 | 33176 | 54.7% |
| プリズマリ(青赤) | 31458 | 57798 | 54.4% |
| ウィザーブルーム(黒緑) | 23923 | 44108 | 54.2% |
なぜなら、ロアホールドとシルバークイルは、戦略の方向性が真逆となっており、必要なカードのラインナップが全く異なるからです。学部ごとにカードの役割が極端に特化しているため、どっちつかずの併願を続けた結果、デッキの出力が中途半端になり、空中分解してしまうリスクが非常に高いのです。
したがって、この環境で再現性のある勝利を掴むなら、迷いを捨てた「専願」こそが最も生存率の高い戦略である、と言えます。
コンセプト
ロアホールドは典型的なコントロールデッキであり、ドローソースを駆使して手札を増やし、最後は手札が多いほうが勝つ、というゲーム展開を狙う。除去や相打ちで削り合うと、いずれ手札が尽きます。そこでこちらはカードを引き続けて、こちらだけが手札を持っている、という状況に持ち込むのが理想です。
一般的なドラフトでは、赤白は「速さ」を武器にしますが、本環境のロアホールドは「リソースの循環」に長けています。墓地を第2の手札として活用する、《過去の追求》や《秘本破》のフラッシュバック等により、1枚のカードを1.5枚分、2枚分の働きへと増幅させる。この物量の差こそが、本戦略における勝利の方程式です。
除去
シルバークイルの陽キャたちは「除去はゴミだ」と言っているかもしれませんが、我々ロアホールドにおいて、除去こそが最大の勝ち手段です。
マジックには古くから伝わる格言があります。「相手に選択権があるカードは弱い」。この視点に立てば、クリーチャーと除去の決定的な差が浮き彫りになります。クリーチャー対クリーチャーの交換は、相手がブロックに同意しない限り成立しません。しかし、除去であれば、こちらの注文ひとつで相手のクリーチャーを強制的に破壊できるのです。
なかでも、替えが利かないであろう3枚をピックアップします。



- 《あからさまな嘲り》…3マナ4点火力に諜報1までついてる。データによっても評価されており、GIH勝率 60.1% と除去の中で最も高い。
- 《秘本破》…2マナ2点火力とやや控えめに見えるが、フラッシュバックにより5マナでもう一度打てる点が重要で、相手のクリーチャーを2体除去してアドバンテージを稼げる。プレイヤーに直接打ち込むこともでき、勝ち手段にもなる。データによってもGIH勝率 59.4%と高く評価されている。
- 《白熱した口論》…5マナ6点火力と重さこそ気になるが、同時にプレイヤーへの直接2点火力で勝ち手段にもなる。ALSA 5.81と除去の中では比較的後半まで流れやすい点もポイント。
ドローソース
《過去の追求》は、ロアホールド・コントロールというデッキの構造を支える心臓部です。

2マナで唱える第1段階では、手札の枚数こそ増えませんが、不要な土地や序盤に引いてしまった重いカードを捨て、今すぐ必要な除去やブロッカーへと変換できます。
おまけのように付いている「2点のライフ回復」ですが、フラッシュバック分と合わせれば合計4点。これはアグロデッキの攻撃1回分を無効化するのに等しい数値です。除去で盤面を捌きつつライフを補填する。長期戦を前提とする我々の戦略と完璧に合致します。
フラッシュバックまで使い切れば、最終的に手札は1枚増え、ライフは4点回復し、墓地は肥えている。2マナ+4マナという分割払いのコスト設定も、除去を構えながら動きたいコントロールにとって、極めて合理的な設計と言えます。
飛行ビートプラン
コントロールデッキの理想は、相手のリソースを枯渇させて完封することです。しかし、理論上は手札がゼロになっても、トップデッキ1枚で戦況を覆す「ボムレア」の存在が無視できません。
長期戦になればなるほど、相手がボムレアを引き込む確率は上昇します。したがって、我々ロアホールドは「守り抜く」だけでなく、相手に逆転の猶予を与えない「出口戦略」を構造に組み込む必要があります。それが飛行ビートプランです。
アタッカーとして飛行クリーチャーを選択するのは、単純に、アタッカーに分類されるクリーチャーの中で、飛行持ちが明確に勝率を上げているというデータがあるからです。
《粗石熾し》で盤面の安全を確保しつつ、《オーリンの歴史家》や《空昇る塵語り》で着実にライフを削る。「地上を完全管理し、空から最短距離で勝利を奪う」。これが、データとリスク回避から導き出された、最も再現性の高いロードマップです。
ブロッカー


- 《粗石熾し》…3マナ1/4。墓地のカードを1枚追放してタップすると、赤1マナ加えつつ対戦相手に1点のダメージ。タフネスの高さにより相手の攻撃を受け止めつつ、重い飛行クリーチャーを早期展開できる。更に、膠着した盤面では直接火力がゲームの決め手になることも。
- 《石造りの講師》…2マナ3/1。4マナ帯ぐらいまでのクリーチャーと相打ちに持ち込めるので、コスパのいいブロッカーになる。
アタッカー



- 《オーリンの歴史家》…3マナ2/3、飛行。出たとき諜報で次のドローを改善できる。墓地からカードが離れたターンは3/4となり、5マナ相当の性能になる。
- 《熱心な象形魔道士》…4マナ3/3。1/1飛行の墨獣トークンを出す。クリーチャー2体並べるというシンプルな性能が攻守両面で活きる。
- 《空昇る塵語り》…5マナ3/4、飛行。出たときクリーチャーに+1/+1カウンターを乗せる。《粗石熾し》からつなげる5マナクリーチャーとして最高で、《粗石熾し》を2/5に強化することでこちらの守備をさらに盤石に固めつつ、3/4飛行で空から攻撃する動きが強力。
デッキ構成
典型的なコントロール型の考え方となります。
| カードの種類 | 小分類 | 枚数 |
|---|---|---|
| 軽量除去・ブロッカー | 11 | |
| 2マナ | 6 | |
| 3マナ | 5 | |
| アタッカー | 8 | |
| ドロー | 2 | |
| 自由枠 | 1 | |
| 土地 | 18 |
除去でマナカーブを構成する
アグロデッキでは、2ターン目3ターン目にクリーチャーを出したい関係で、2マナ帯3マナ帯といえばおしなべてクリーチャーを指していました。
コントロールデッキの場合、2ターン目に除去を打って相手の2マナの動きを相殺できればOK、という考え方なので、除去とブロッカーを合わせて6枚、5枚になっていれば充分ということになります。
アタッカーは8枚
典型的なコントロールデッキでは5~6枚程度で充分なことが多いが、ロアホールドは飛行クリーチャーをメインアタッカーに据える関係でどうしても打点が足りないため、数で補う、という構成になると予想しています。
土地は18枚
この構成において土地18枚を推奨するのは、毎ターンのセットランドが勝利に直結するからです。コントロールにとって最大の負け筋は、除去やドローソースを抱えたまま、マナが足りずに唱えられず、機能不全に陥ること。
加えて、《過去の追求》によるルーティングがあるため、後半の土地余りは容易にケア可能です。
ピック優先度
ここまでに挙げたキーカードのALSA値を見ていきます。そうすれば、どのカードから取るべきかがおのずから見えてきます。
データから導き出される優先順位は、「除去>ブロッカー>アタッカー」です。シルバークイルでは「代わりが効かないアタッカー(詩人)」を優先しましたが、ロアホールドでは「時間を稼ぐための除去と壁」こそが代えの効かないパーツとなります。盤面をコントロールし、手札の枚数で圧倒してしまえば、極論アタッカーは何であっても「いずれ勝つ」状況を作り出せるからです。
| カード名 | 分類 | ALSA |
|---|---|---|
| あからさまな嘲り | 除去 | 4.03 |
| 秘本破 | 除去 | 4.65 |
| 白熱した口論 | 除去 | 5.81 |
| 粗石熾し | ブロッカー | 5.60 |
| 石造りの講師 | ブロッカー | 5.79 |
| 熱心な象形魔道士 | アタッカー | 6.24 |
| オーリンの歴史家 | アタッカー | 6.27 |
| 空昇る塵語り | アタッカー | 6.46 |
| 過去の追求 | ドローソース | 6.64 |
シルバークイルが「一瞬の閃き」で勝負を決める学部なら、我々ロアホールドは「積み上げられた理」で勝利を確定させる学部です。相手の攻撃を捌き、リソースを循環させ、選択権を完全にこちらの手中に収める。
データと歴史が証明している通り、最も崩れにくく、再現性の高い勝利は、常にこの「管理された盤面」の先にあります。皆さんも、不確かな「相手の同意」に頼る戦いからは卒業しましょう。歴史を紐解き、論理という名の除去を構え、自分だけの「勝利の構造」を構築してみてください。
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